面接の基本は「ディベート力」にあり!試験官をうならせるスピーキングの準備方法を紹介


英語学習イメージ

こんにちは! 教育家の石橋勇輝です。
今回の連載では、
・英語をゼロから学びなおしたい方
・お子様の英語力をアップさせたい方
に向けて、「ゼロからの英語学習法」と題してお送りします。
連載第5回では、
「スピーキング」にフォーカスして、
・資格試験で英語の面接があるけれど、言葉がうまく出てくるか不安…
・英語で質問された時、とっさに反応して答えることができない…
・いざ外国人を前にすると緊張してしまう…

そんなお悩みをお持ちの方に向けて、とっておきの内容をお届けしていきますね。

石橋勇輝のプロフィール:小4から公文で英語を始め、留学経験ゼロで中3で英検一級を取得後、TOEIC990点三年連続取得。iELTS 7.5、TOEFL108点。また、家庭教師として数百人の小中学生を個別指導し、駒場東邦や開智をはじめ難関中学校に多数合格させ、英検準1級~5級まで合格に導いた経験を持つ。

まずは出題者の要求を正確につかむこと

スピーキングというと「話すこと」が重視されがちですが、意外とそれ以前の「聞くこと」が大事だったりします。
質問はカードで渡される場合もありますし、直接口頭で伝えられる場合もありますが、いずれにしても「相手は、自分にどんな答案を期待しているのか?」を正確に読み取ることを意識しましょう。
時折、ペラペラと英語をまくし立てるのが正解だと思って質問の内容に無頓着にとにかく喋ろうとする方がいらっしゃいますが、それは逆効果です。
たとえ短い受け答えであったとしても、回答の内容が質問者の意図にしっかりマッチしていたら、「相手の言うことをきちんと理解できる」能力を持っていると判定されます。
相手の発言内容を、相手の目を見てきちんと受け止め、「理解していますよ」という態度を全力でアピールしましょう。

とにかく喋ること、間を空けないこと

とはいえ、自分のターンが回ってきたら、とにかく間を空けずに喋り出しましょう。
その際、自分の答えが用意できていなくても、とりあえず相手が言った質問の内容をリピートするだけでも問題ありません。
例えば、「What is your favorite food?(あなたの好きな食べ物はなんですか?」と聞かれたら、「Well, my favorite food is…(はい、私の食べ物は..)」というように、とりあえず反射的におうむ返しするのです。それだけでも、相手は「ああ、自分の答えがちゃんと伝わったんだ」という安心感を得られて好印象ですし、心理学用語で言う「バックトラッキング」の効果が働いて、こちらに好意を抱いてもらう事ができます。そしてこちらは、おうむ返ししている間に、自分の答えとその根拠を考えます。
その際、間を空けないことが非常に重要です。
間が空きそうになったら、「Well,」や「Let me see,」「It’s a good question.(それはいい質問ですね)」などで時間を稼ぎましょう。沈黙が一定時間続いた時点で、「もう私のターンは終わりました」という意思表明になってしまいます。とにかく、「まだ言うことがあるんだ!」という意思表示をし続けましょう。
もちろん、意図的に間を空けることは効果的な場合もあります。相手の目をしっかり見ながら、意図的な沈黙を取ることで、試験官をこちらのペースに引き込んでしまう、というような上級技です。心の余裕がある場合、ぜひ取り入れてみてください。

想定問答を用意

ここからは上級編に入ります。英検2級以上やiELTSなどのある程度レベルの高い面接だった場合、本番でテーマを渡されて、そのテーマについて質疑応答が展開されるという場合が多いですね。
そうした場合、まずは過去問集などから、過去5〜10年度までの間に出題されたテーマのリストを入手します。
そして、そのそれぞれのテーマに対して、3つ以上の角度からの想定答案を準備するのです。
例えば、「核家族化」と言うテーマだとしたら、「育児休暇」「女性のキャリア選択」「子供への教育的影響」など。
「少子化」と言うテーマだとしたら、「労働力の減少」「年金問題」「脱成長社会」など。
出題されるテーマが全部で20種類だとしたら、サブテーマは60個。これだけ考えたら、もうどんなことを聞かれてもある程度関連する話題が思いつくようになります。
なお、ここで、、「育児休暇」「女性のキャリア選択」といったサブテーマは、「核家族化」と「少子化」の両方に共通する話題でもあります。そうした場合、これらのサブテーマについてしっかり自分なりの意見を深めておくことで、、「核家族化」と「少子化」のどちらにも太刀打ちできることになります。一粒で二度美味しいとはこのことです。
なお、サブテーマが全く思い浮かばない場合、ChatGPTなどの生成AIに質問してみるのもありですね。「少子化について議論する際に考えられる論点を思いつく限り教えて」などといえば、具体的にさまざまなテーマを提示してくれるはずです。もはやChatGPTを相手に疑似面接をやってみても良いでしょう。

トランプ元大統領に学ぶ、質疑応答の極意

どんなに緻密に想定問答を用意したとしても、対策できる範囲には限界があります。
想定するだけで50個くらいが限度ですし、頭の中に入れて置けるのも10個くらいが限度でしょう(あまりにも詰め込むと、むしろ真っ白になって全部忘れてしまうので要注意です。)
しかし、実際には試験官からどんな質問が飛んでくるかは予測不能です。では、どのように対策したらいいでしょうか?
高校時代に英語スピーチに出場した際、顧問の先生に教えていただいた「質疑応答の極意」があります。
それは、「あらゆる質問を、自分が用意した回答に強引に繋げてしまう」という、「我田引水」のテクニックです。
例えば、現代社会のさまざまな問題について想定問答を用意した上で本番に望んだ際に、「核家族化」がテーマとして出題されたとします。「核家族化」についてのあなたの想定問答集には、「育児休暇」「女性のキャリア選択」「子供への教育的影響」などといった論点しか用意されていないとします。
そこで試験官から、予想外の角度から「同性婚についてどう考えるか」、という質問が飛んできたとしましょう。
そんな時、こんな感じで応答してみます。
「確かに同性婚は現代において重要な問題ですね。それは育児休暇をめぐる問題にも深刻な影響を投げかけることでしょう。(以降、育児休暇をめぐる用意してきた回答)。このように、同性婚が社会にもたらす影響は大きなものだと言えます」
もしくは、「確かに同性婚は現代において重要な問題ですね。それは女性のキャリア選択をめぐる問題にも深刻な影響を投げかけることでしょう。(以降、女性のキャリア選択をめぐる用意してきた回答)。このように、同性婚が社会にもたらす影響は大きなものだと言えます」
などなど。
あなたが面接官だとして、どのような印象を抱くでしょうか?
多少強引に見えても、全く用意してきていない話題についてしどろもどろで回答して、支離滅裂な回答になるよりかはよっぽどましです。
試験官の質問をうまくかわして、自分の用意してきた論点に強引に繋げてしまってから、あとは用意してきた答案をペラペラ喋ること。最初の「我田引水」がうまく行っていれば、試験官は文句をつけられないはずです。
アメリカのトランプ元大統領はこのテクニックが非常に巧みだったと言います。野党側から投げられる悪意ある質問に対して、うまくひねりを加えて自分の土俵に持ってきてしまうような弁論術を身につけていたそうです。トランプ氏の後ろ姿に倣って、縦横無尽な話術を身につけたいものですね。
 
 いかがでしたでしょうか。次回は、英語で自分の意見を能動的に発信していくための「スピーチ」の練習方法について解説していきます。お楽しみに!