語学の基本は「発音」にあり!リスニング能力を飛躍的に向上させる発音テクニック完全攻略


英語学習イメージ

こんにちは!教育家の石橋勇輝です。
今回の連載では、
・英語をゼロから学びなおしたい方
・お子様の英語力をアップさせたい方
に向けて、「ゼロからの英語学習法」と題してお送りします。
連載第一回では、
「発音」にフォーカスして、
・英語を勉強したいけれど、そもそもどこから手をつけていいかわからない…
・リーディングは取れるのにリスニングで点数が取れない…
・ネイティブの音声が聞き取れない…
・自分が言ったことが正しく聞き取ってもらえない…
そんなお悩みをお持ちの方に向けて、とっておきの内容をお届けしていきますね。

石橋勇輝のプロフィール:小4から公文で英語を始め、留学経験ゼロで中3で英検一級を取得後、TOEIC990点三年連続取得。iELTS 7.5、TOEFL108点。また、家庭教師として数百人の小中学生を個別指導し、駒場東邦や開智をはじめ難関中学校に多数合格させ、英検準1級~5級まで合格に導いた経験を持つ。

英語学習は、まずは「発音」から

英語の学習をスタートする際は、まずは「発音」を徹底的に習得することから始めてみましょう。
私自身、小4から「純ジャパ」として英語の学習を始めた時は、
日本語と英語の「発音」の違いに衝撃を受け、
まずはとにかく短期間で「発音」をマスターすることを目標としました。

たとえば、
・日本語の「ん」→英語の「m」と「n」
・日本語の「る」→英語の「l」と「r」
・日本語の「す」→英語の「s」と「th」
など、日本語だと同じ発音でも、英語だと細かく区別しなければいけない音がたくさんありますよね。
上に挙げた例は子音の違いですが、
・日本語の「あ」→「Apple」のAと「Almond」のAと「Abraham」のA
・日本語の「い」→「Elon」のEと「Establish」のE
など、母音レベルでも大きな違いがあります。

発音は後回しでOK?

英語の参考書を買うと、たいていの場合最初の方で発音の知識が書かれていますが、パーッと読み飛ばして先に進んでいく方も多いのではないでしょうか。
「英語は文法がわからないと理解できないから、
文法最優先で、発音は後回しでもよい」と思っているとしたら、
それは大きな間違いです。
発音をマスターすることなくして、言語の習得はありません。
むしろ、発音さえ完ぺきにマスターしてしまえば、言語の習得の初級レベルは一気にクリアできると言えるでしょう。

発音の重要さ:動物のたとえ話
なぜ、発音が4技能すべてにまたがる言語の基盤だと言えるのでしょうか?
ここで、身近な動物のたとえ話をしてみたいと思います。
哺乳類の中で言語を操る能力を持っているのは、私たち人間だけだと思いますか? いえ、広い意味ではそうは言えません。私たちの身近にいる哺乳類のなかでも、イルカやコウモリは高度な知能を持ち、仲間どうしで会話していると言われています。
では、なぜ彼らの会話が私たちには聞き取れないのでしょうか? 
それは、彼らの発する音声が超音波の帯域に属し、私たち人間の耳では聞き分けることができないからです。
イルカやコウモリのほかに、イヌも吠え声のトーンで様々なメッセージをお互いで交換しているそうです。でも、長年寄り添った飼い主を除けば、同じ「ワンワン」という音声から、細かい感情の機微を感じ取ることはなかなかできないですよね。
しかし、イヌ同士であれば、たとえば悔しさの「ワンワン」、悲しみの「ワンワン」、苦しみの「ワンワン」など、同じ「ワンワン」の中に込められた微妙な違いを感じ取ることができるのです。

言語の本質とは「発音」
つまり、言語の本質は、文法や単語以前に、「違いを聞き分ける力」のなかにあるのです。
そのため、言語の特徴は、その言語に特徴的な発音に現れることが多く、重要な単語ほど、独特な発音を伴うことが多いのです。
たとえば、「th」。私含め日本人が苦戦してきた子音の代表格ですが、最も基本的な単語で出現頻度も高い「the」や「thing」、「throw」や「through」などで多用されています。
 
読解速度が上がらない本当の理由
英語を学ぶ際には、私たちがどのように日本語を習得してきたかを考えるとわかりやすいですね。私は家庭教師として数百名の小学生を個別指導してきましたが、文章を読むのが遅い子や、途中で止まってしまう子には、たいていの場合音読をさせてみると原因がはっきりします。
必ずどこかに、「読めない漢字」「知らない言葉」があるのです。
その漢字にフリガナをふってあげたり、読み方や意味を教えてあげたりすると、急に読めるようになるのです。音読が自由自在にできるようになった段階で、黙読に移行すると、読むスピードがどんどん上がっていきます。
英語でも同じです。
英語を「読めない」理由は、「発音できない」こと、「単語の意味がわからない」こと、「文法がわからない」ことの三段階考えられますが、最初の発音のステージをクリアすれば、7割は突破したと言っていいでしょう。
 

発音テクニック・実践編

さて、ここから、具体的にどのような形で発音をマスターしていけばよいのか、実践的な方法をお伝えしましょう。
発音マスターは、以下のステップで行いましょう。
1. 日本語にはない母音9個をマスターする
・【æ】しゃくれの「あ」 例:cat、hat、apple
・【ɑ】あくびの「あ」 例:hot、top、box
・【ɔ:】大口の「お」 例:ball、walk、August
・【ǝ】あいまい母音 例:ago、about、sofa
・【ʌ】低めの「あ」 例:bus、cup、luck
・【i】口をひかない「い」例:it、image、ear
・【e】ちょっと大きめにあける「え」 例:said、end、tennis
・【u】口の力を抜いた「う」例:full、put、book
・【r】舌を思いっきり引く「r」例:work, first, dirt
 
2.日本人がニガテな子音10個をマスターする
・【θ】舌と上の歯の「すぁ すぃ すぅ すぇ すぉ」例:think、month
・【ð】舌と上の歯の「ずぁ ずぃ ずぅ ずぇ ずぉ」例:that、mother
・【r】たこちゅーの「ぅら ぅり ぅる ぅれ ぅろ」例:right、grass
・【l】舌足らずの「ら り る れ ろ」例:light、glass
・【w】たこちゅーの「ぅわ ぅい ぅう ぅえ ぅお」例:we、what
・【f】下唇の「ふぁ ふぃ ふぅ ふぇ ふぉ」例:feel、fence
・【v】下唇の「ヴぁ ヴぃ ヴぅ ヴぇ ヴぉ」例:very、value
・【j】舌を緊張させた「ぃや ぃい ぃゆ ぃえ ぃよ」例:year、million
・【s】舌先が真ん中の「すぁ すぃ すぅ すぇ すぉ」例:see、sing
・【ʃ】舌先が上を向く「しゃ しぃ しゅ しぇ しょ」例:she、shine

3.母音と子音を組み合わせた「発音技」7個をマスターする
・リンキング 例:in English、gas station
・消える破裂音 例:good byeのd
・濁るt 例:waterのt、littleのt
・消えるt 例:twentyのt
・飲み込むt 例:buttonのt
・子音+y 例:can you
・消えるh 例:tell him のh

4.英語のリズムをマスターする
英語には、日本語とは違った独特のイントネーション、リズムがあります。いくつかの例文を読むことを通して、自然なイントネーションをマスターしたら、発音トレーニングは完成です。
各ステップについての詳細は、リチャード川口氏によるこちらの本にコンパクトにまとまっているので、参考になさってくださいね。

期間を区切ってマスター
実践する際は、一ヶ月など区間を区切って、集中的にトレーニングすることをお勧めします。短期間で集中的に行い、モチベーションが高いうちにマスターしてしまうことがポイントです。
私自身、大学入学時にドイツ語を学び始めて1年半の独学で2級を取得しましたが、その際の最初の一か月はとにかく発音の習得にあてました。

「なんとなく」に注意!
ここで重要なのは、発音というのは、なんとなく聞いても永遠に成長しないということです。
ドリブルならドリブル、パスならパスを徹底的に自分の体を動かして練習することが大事。 ネイティブの音声を聴くことは、プロの試合を観戦するようなものです。いくら試合を見てもサッカーができるようにはならないですよね。
ただし、自己流でやっていても、変なフォームが身についてしまいます。ですので、常に「お手本を聞く→発音する→お手本を聞く」という繰り返しを怠らないようにしましょう。
 
いかがでしたでしょうか。次回は、発音をマスターした次の段階として、「語彙増強」のステップについて解説していきます。お楽しみに!